お疲れ様です、ミリオタです。
明日からの仕事に備えてプロノで色々買ってきましたがそれはそれとして珍兵器のはなしをします。
こんな感じで週2回くらい更新していきたいと思います。
P.S.長くなってしまったので暇な時に読んでください。
ミリオタの珍兵器解説
第二回
フランス式1人用機関銃(フランス)
名称 FM Mle1915
全長 1143mm
銃身長 470mm
全重量 9.07kg
口径 8mm
使用弾薬 8mmルベル弾
装弾数 20発
開発年代
1900年代初頭
開発国
フランス 陸軍兵器研究工場
残念レベル
⭐︎⭐︎⭐︎
こちらは1900年代初頭にフランス陸軍兵器研究工場にてルイ・ショーシャ陸軍中尉を中心に開発が始まった銃になります。
コンセプトは『歩兵1人で扱え、持ち運び可能な機関銃』でした(当時の機関銃はとても重く歩兵が1人で扱うには手に余るもので、比較的軽量だったイギリス軍のルイス軽機関銃ですら13kg、ドイツ軍のMG08/15は18kgあった)。
弾薬は当時のフランス軍主力ライフルと同じ8mmルベル弾を使用しており、連射した際のコントロールがしやすいようにピストルグリップとフォアグリップを装着。装弾数は20発で、残弾数確認用の開口部を備えた半円形のマガジンを使用(このマガジンで何かを感じ取ったあなたは色々と正しいですが、詳しくは後ほど)。銃身も交換しやすい仕様となっています(銃は連射し続けると銃身が加熱し、最終的には銃身が壊れて撃てなくなる)。
さらに、当時の最先端技術であったプレス加工を多用し、作りやすさと大幅なコストダウンを両立。生産性に優れていました。
作りやすい、値段が安い、扱いやすい、手入れしやすい、今までと同じ弾が使える、連射可能。そんな完璧すぎる性能を持った銃………になってれば良かったんだけどそうは問屋が卸しません。
現場での評価はとても良いとは言えませんでした。
まず、当時まだ未成熟なプレス加工を多用し過ぎたのが裏目に出てしまい故障や動作不良が多発。プレス加工の信頼性も未成熟だったわけだ。
特に厄介なのが半円形のマガジンで、何かにぶつけたりしたらすぐ変形して使えなくなるわ残弾数確認用の開口部から泥やゴミが入り込んで故障や動作不良の原因になるわで散々な事態に陥りました(しかも凹んだり曲がったりしていることが見て分かるならまだマシで、しばしば見た目では判別不能な歪みが給弾不良を引き起こした。つまりこのマガジンが使えるか使えないかは撃ってみないと分からなかった)。
さらに銃身の冷却機構も不完全で撃ちまくるとぶっ壊れるわ、軽すぎてモロに反動がくるわとつっこみどころ満載でした。もっとも冷却機構に関してはそんなに撃つ前に銃自体が壊れることの方が多かったのでそれほど気になる話ではなかったそうですが。
そのため当時本銃を7000丁近く輸入した米軍でも「もうこんな銃たくさんだ!」とばかりに味方の武器庫を襲撃してルイス機関銃を勝手に持ち出したり、挙句の果てには鹵獲した銃をそのまま使う兵士まで出てしまい、結局天才ブローニング(アメリカの銃設計技師)が開発したBARことM1918ブローニング自動小銃に置き換えられてしまいお役御免に。ただしアメリカ向けのショーシャはアメリカの要求に合わせて無茶な改造を施していた(そもそも薬室の寸法が合わない根本的な不良品だった)ため元々の出来がイマイチだとしてもその部分が祟っている面は否めないところがあったそうです。実はショーシャの悪評のほとんどはこのアメリカ版ショーシャ(こちらもBAR同様M1918の名前があるためややこしい)の評価が後押ししていたもので、その風評被害は今も燻っています。
一方フランス軍においては、3発ずつ撃つなどあの手この手で故障の確率を下げていましたが結局1920年代には後継の銃に取って代わられてしまいました。
実は不遇なショーシャ
……と、ここまで散々バカにしてきましたが、実はこれらの評価は、現場での間違った運用により着せられた汚名でした。
第一次世界大戦の頃、両軍共に長い塹壕を掘り、鉄条網(有刺鉄線とか)を張り巡らせ、さらにそこに機関銃を据え付けてしまうと歩兵がこれを突破するのは不可能に近いことで、膠着状態に陥った各国は頭を悩ませていました(だだっ広く敵の弾を遮るものがないヨーロッパの平原に掘られた塹壕から顔を出そうものなら即座に機関銃でハチの巣にされる。かといって敵の塹壕線を突破しないと戦局の打開は不可能だった)。
そこでフランス軍が目をつけたのはマーチングファイアと呼ばれる戦術で、連発可能な銃を持った歩兵が横一列に並び、腰だめ撃ちで弾丸をフルオート連射してばら撒き敵を牽制しながら突き進むという戦術で、これによって敵兵の顔を出させず、自軍は前進することが出来るとフランスは考えました。
しかし、この戦術を行うには『立射が可能で・装弾数が多く・フルオート射撃が可能な・歩兵全員に配れる』銃が必要で当時フランス軍にそのような銃はなく、この戦術は使うことが出来ませんでした。そこでフランスはマーチングファイア専用銃を開発することを決定、さらに航空機銃として既に実用化していたCSマシンライフルを歩兵向けに転用、再設計することで設計期間の短縮を計り、完成した本銃はまさにマーチングファイアのために設計されたマシンライフルとなりました。
完成後ある程度の数を揃えた本銃はソンムの戦いに投入され、マーチングファイア運用で一定の効果を見せたためさらなる増産が決定されました。しかし、大量生産され各前線に届けられた本銃を見た現地指揮官と兵士は『フルオート連射できる・バイポッド(銃の下につける二脚)がある・装弾数が多い』という部分のみを理解し、これは軽機関銃なんだ!と勘違いしたのです。名前からして違うだろ。
結局いくら数を揃えても当時で既に毎分500発の連射能力を誇っていた機関銃には手数で到底敵わず、連射が出来るという特性から塹壕の中から機関銃っぽく使った結果、上述のような欠点を露呈し欠陥製品の烙印を押されてしまいました。
如何に優れた製品でも、使い方を誤れば欠陥品になります。ショーシャは取扱説明書はきちんと読むべきという教訓を教えてくれた銃でもあるのです。
と、長くなりましたが今回はショーシャ軽機関銃の解説でした!
これからも仕事を頑張りつつブログの更新も頑張っていきます!明日からもよろしくお願いします!!
次回予告
第三回
恐怖!海に浮かべると腐る魚雷艇!!
に、ご期待下さい!
ミリオタの「ミリ」ってなんですか?
ん~次回は説明文を
半分にまとめてください!