「それでは社員のモチベーションが落ちてしまう!」と社員に言われた事がある。
確かに「言わんとしている意味は分かる」し私も使う事がある。しかし、頻繁に「モチベーション、モチベーション」と社員から言われると、疑問に思う。
モチベーションの意味は「やる気」であったり「士気」「志」である。 言葉で聞く「モチベーションが無い」のと「やる気が無い」のでは全然とらえ方が違う。前者の「モチベーションが無い」はアバウトとして、後者の「やる気が無い」は最悪で「無気力」としか言い様がない。
私も創業当時から社員に伝えてきた「能力<やる気」。なんぼ能力があってもやる気の無い者は、同じ仕事量であっても能力の無い者より使い物にならない。 能力が無くてもやる気があれば、能力は他から借りてくることが出来るからだ!
自分の場合「モチベーションは何なの?」と聞かれると、やはり創業当時は「志」であり「夢」であった。 更にそれ以上に「借金返済」が既成事実かもしれない。後に引けない「借金返済」があって、次にこうなりたいと言う「夢」があって、最後に「志」かもしれない。
……いや、「志」が有ったか定かでない。当時のきっかけは「志」より自分に対しての不満の方が大きかった。 「このままならダメになる!」…と!
モチベーションを持ち続けると言うより、「現実の既成事実からなんとか抜けたいと言うエネルギー+希望」だった様な気がする…
アスリート達のモチベーションも、「必ずメダリストになる」という、高い「指向」と「夢」を持ち続けた結果だと思われる。
従業員の「モチベーションは何なの?」と言うと… お金(給料)が一番と言うかもしれない。
確かに少ないより多いに越したことは無いが飽くまでもお金(給料)は契約報酬なのだ。その中で「向上心」を持って伸びるのは オーバーアチーブしていく者だ。
(※オーバーアチーブとは…仕事=報酬の契約であるが、従業員はその仕事をしますと契約した以上の仕事をすることにある。)
このオーバーアチーブは、実はあらゆる企業や創業の中でも行って来なければならないものであると思われます。自分のしている事が「損」と思った時は既にモチベーションは無くなっているものです。
オーバーアチーブが、これこそ人間を人間たらしめている趨向性であり、本人の伸びる一番の要素となっている。
働く既成事実(お金、生活、家族、車ローン)以上に高い「指向」と「夢」を描いている者がどれだけいるだろうか?
「指向」と「夢」は自分で描くものであって、人に委ねるものでは無い。 自分が自分にかせる「プレッシャー」がエネルギーとなって、高い「指向」と「夢」に近づくものだ。
実はこの「プレッシャー」と言うものは「至れり付くせり」の環境では絶対に沸くものではない。
寧ろ「不満」が多いほうが自分に対してのプレッシャーを描き立てる。
ときに屈辱であっても… 「臥薪嘗胆」がしんしょうたん の様に。
要するに厳しい環境の方がモチベーションを保てる(キープ)と言うものだ。
脳科学者の茂木健一郎先生が大変興味深いことを言っていた。
モチベーションを持ち続ける為に2つの事をあげている。
①自分の師匠となる人を持つ事。
(憧れの人を目標として行動をとるミラーニューロン現象があるらしい)
②自分の小さな成功体験を大事にする事。
(小さな成功体験は単調な毎日の積み重ねに光をさすもの)
モチベーションは「創造的な先延ばし」らしい。
私はこの「創造的な先延ばし」が、大変好きな言葉だ。