ふさぎ虫


ここ一週間で、かなりの雪が解けた。
まだ凍りついている所が多いが、これからは太陽の反射熱と地表の地熱とで一気に溶け出してくるだろう。 気持ちの焦りもあるが、お尻に火が着いた状況です。 アッチもコッチも遣らなければならない事が多く、例えば、クライアントさんがビジネス絡みだと、納期施工の目標が全GW前に決められており、それに基礎工事(穴掘り)が付くと、作業日程も殆どが予定通りに行かない。 焦る…!焦る…!弊社の展示場整備どころでは無い…が現状だ!
何でもいいから、ひとつひとつ慌てず具体的にかたづけて行きたい。

新入社員も、やっと自分の居場所に慣れて来たようだ。
慌てることは無い、毎日一つ一つ確実に覚えて行けばよい。


実は…
昨日から、午前中のみと言う事で、工場に一人加わった。
この者40代後半の男性、聞くところによると数年前までは、本州でバリバリのサラリーマン戦士だったようだが、体調不良に陥り地元に帰って来た。
その間、入退院と社会復帰を試みたが出来ず、2年ほど前に私と話したことを思い出したらしく、私のところを訪ねてきた。 「お金はいいので、リハビリがてら働かせてほしい…」…と。

社長として幹部の者達にもキチッと説明し理解してもらった。
極端な話「全員がおかしなやつばっかりなのだから…」と。(笑)…
弊社としても、この様な多くの人数になると、社会貢献の一環として考えても…と自分自身に言い聞かせています。

そしてリハビリに絶対に必要なのが…

先ず…「認める」
社会の一員であることを認める。これは、平等に扱い挨拶もキチッと交わし、コミュニケーションを取る事。

次に…「仕事を与える」
これは、単調でも良いので無理を掛けない程度に自分の居場所を与える事です。

最後に…「報酬を与える」
これが一番大事で、仕事が出来ないからでは無く、必ずタイムカードでキチッと計算してやることが、上記の一番認める事に繋がるものです。

松下幸之助氏は…
「うちは電化製品を作っているが、一番は人を作っています。」と。
そんな大それた事ではないが…ただ、この様な考えも出来る様になったのも、今いる社員達のお陰だ。

五木寛之氏の書に、鬱は昔からあったと書いている。
明治の小説家「二葉亭四迷」がゴーリキーの「トスカ」を翻訳の中で「ふさぎの虫」という題名をつけている。
その本は、人間は「おぎゃー」と生まてくるとき、必ず心の隅に一匹の厄介な虫を宿している。この虫は、宿り主の人間が幼い頃からその心に巣食っていて、 そして何十年ものあいだ、じっと身動きもせず胸の中に留まっている。それでその人間が成長したり、あるいは歳を取っていく中で、 非常に難しい局面になった時、ガバッと顔を擡げてその人のハートを噛みつく。そこから毒液が注ぎ込まれて、その人はなんにも言えない状態に陥る。場合によっては破滅の淵に沈んでしまう。
この状態が「鬱」なのだと書いている。

TVが普及した時…
「一億総人口が白痴かになる」と言っていたが…今は違う
「一億総人口 総鬱かだ」
思うと…本当に生きにくい世の中になってしまったと思う。

私も人間なので、自分の中にふさぎ虫が居るのはわかる。時たま噛みつこうとする…。
でも、そんな時必ず「コノヤロー」と怒りつけている。